義父が亡くなって
2年になる。
享年80
30年前、
当時交際中だった
妻との結婚を
なかなか許して
もらえなかった。
どうにか同意してもらい
結婚に至ったが、
その後も
私の気弱な性格もあり、
あまり面と向かって
話することは少なかった。
妻の故郷に
帰った時も「おう」と
後ろ姿で一言
かけられるくらい。
なかなか近寄れなかった。
こんな義父との関係だったが
妻の祖母が他界されたとき、
「これが娘の婿です。
いい婿なんです」と
親戚知人の方々に
紹介してもらった。
お世辞でも
そう言ってもらえたことは
やはり嬉しかった。
そんな義父は
酒好きだったこともあり、
晩年は腎臓を患った。
亡くなる数日前に
私の事も話されていたらしい。
通夜の終わった後、
夜中一人で
亡骸にふれ、
最後にゆっくりと
お話させてもらった。
「いろいろありましたけど
ありがとうございました」
義父の使われていた帽子です。
私にしばらく被らせて下さい。
